今日、消毒は煮沸だけでは安心できません!
(1)今までは煮沸消毒でこと足りたのに、どうして?
今まで食器やリネン類の消毒といえば、沸騰させた湯につけて煮沸消毒するという方法が一般的でした
しかしこのやり方では、煮沸中に空中雑菌などの様々な微生物が混ざり、院内感染などの様々な問題につながることがあります。
煮沸消毒すれば、たいていの細菌やウィルスは死滅しますが、これらが生きているうちに振り撒いた菌の胞子は、煮沸、または薬品消毒してもしぶとく生き続け、人間の体内に侵入し、病気や中毒を引き起こすことがあります。
特に最近は、熱に強く抵抗力・繁殖力が旺盛なO157やSARSなど新種のウィルスが現れ、もはや煮沸消毒だけでは完全滅菌できなくなりました。
しかし余りに高い温度で滅菌しようとすると、滅菌する対象物が破損してしまいます。
(3)煮沸だけでは不十分なら、どうすればいい?
煮沸、沸騰させたお湯は最高でも100度までしか温度が上がりません。よって100度の温度に耐えられるウィルスや、細菌・微生物が撒き散らした胞子を殺すには、さらに温度を上げる必要があります。
しかし身の回りの普通の道具では、そこまで高い温度空間を作り出すことは難しいです。
そこでぜひお勧めしたいのが、オートクレーブです。
(3)オートクレーブとは何か?煮沸消毒とは何が違う?
オートクレーブ滅菌(高圧蒸気滅菌)とは、ある一定の温度と圧力で飽和水蒸気を作り加熱することで、すべての微生物を滅菌する装置のことです。
医学・生化学・工学など、様々な分野でそれぞれの目的に応じて使用されます。
実は、圧力鍋もオートクレーブの一種です
オートクレーブは、気圧と温度を調節して飽和水蒸気を作って温度を121℃まで上げ、20分程度の短時間で確実に細菌・微生物・胞子を全て滅菌します。
(4)オートクレーブ、高圧蒸気滅菌器のしくみ
①水は普通100℃の熱で沸騰して蒸発するが、熱だけでなく一定の圧力も加えていくと、温度を80℃や150℃にもできる。
圧力で水の温度を調節できる。
なぜか?熱と圧力を加えられた水は、周囲の熱をどんどん中へ取り込み、それ自体の温度を上げるからである。
③熱をもうこれ以上取り込めない状態にまでなった水は、限界を迎えてついに蒸発して水蒸気になる。
これを「飽和水蒸気」と呼び、100℃の熱では死なない細菌や微生物も滅菌することができる。
【蒸気滅菌のメリット】
- 身の回りにたくさんある水を利用できる。特殊で高価な燃料は不要。
- 加熱により蒸気となり、さらに加圧すればさらに高温の蒸気を得られる。
- 気体である蒸気は熱を大量に保有でき、しかも容易に放出する。
- 蒸気は熱伝導がきわめて良好である。
- 蒸気は熱を放出すると水(液体)に戻るが、毒性がない。
- 水は化学的に安定した分子であり、取り扱いが容易である。
- 蒸気は微細な空間にもよく浸透する性質を持つ。
- 細菌・ウィルス・微生物・胞子を形成するタンパク質は、水分含有量が高いほど熱が通りやすくなり、また低温で壊れやすい。
3つのうちどの製品を買おうかと迷っていらっしゃるお客様のために・・・・・
オートクレーブ(高圧蒸気滅菌器)と、乾熱滅菌・煮沸器・科学薬品殺菌の違い
- オートクレーブ(高圧蒸気滅菌器)の長所
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- 水で滅菌するから被滅菌物を燃やさない
- 煮沸で死なない菌も殺す
- 科学薬品を使わないので、毒性やアレルギーもない
- ホータイ、ガーゼも滅菌して何度も使える
- 対象物を乾燥させない
- 乾熱滅菌・煮沸器・科学薬品殺菌の長所
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- オートクレーブより比較的安価
- オートクレーブより高温で滅菌できるものもある
- オートクレーブ(高圧蒸気滅菌器)の短所
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- 高価!
- 2.以下のものは滅菌できない
120℃以下で変質するような熱に弱い成分(一部のタンパク質やビタミンなど)を含むもの
熱に弱いプラスチック器具
分子生物学分野でのコンタミの原因の一つであるRNase
医療上コンタミの原因になる内毒素であるリポ多糖
異常プリオン 古細菌のうち深海の海底火山火口付近に生息するもの
ナイフ類は刃が少々劣化
- 乾熱滅菌・煮沸器・科学薬品殺菌の短所
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- 温度が高すぎて、被滅菌物が熱で壊れる・・・いちいち耐熱限度を確認しなければいかん
- だから高熱で溶けるプラスチックには使えず、金属やガラスにしか使えない
- しかも対象物の水分が乾燥してしまう